A 毎日下痢が出ているようですが、3週間以上続く場合を、慢性下痢と言います。
慢性下痢の原因としては、@小腸や大腸の病気(潰瘍性大腸炎、クローン病、腸結核などの感染症、寄生虫、吸収障害、大腸がん、消化管の術後など)、A他の臓器や内分泌疾患による腸炎(膵臓疾患、甲状腺疾患、カルチノイドなど)、B薬剤性腸炎(抗生剤、利尿薬、強心薬、抗不整脈薬、自律神経薬、抗がん薬など)、C放射線腸炎、そしてD検査しても異常を認めない過敏性腸症候群などがあります。
従って、慢性下痢の原因については、まず病医院に受診して、検査をうけて、診断をつけることが必要です。そのために、必要な検査としては、検便検査(潜血・細菌培養・虫卵検査など)、血液検査(貧血、炎症反応、膵機能、内分泌検査など)、超音波検査などの画像検査、そして大腸検査(注腸X線検査・大腸内視鏡検査)などです。
放射線腸炎というのは、婦人科や泌尿器科の癌への放射線治療の副作用として腸管の粘膜に壊死がおきて、ひどい下痢が引き起こされるものです。放射線治療した子宮がんの5−15%に起きます。また、広島・長崎の原爆被爆者にも、下痢が認められており、しかも内部被曝の症状として注目されています。さらに、今回の福島原発事故による放射線被害として、下痢症状が出ているとの報告もありますが、確定はしていません。
過敏性腸症候群も、近年注目されている疾患で、上記の諸検査での異常は認められずに、薬剤性や放射線の影響もなく、慢性的に腹痛・不快感・下痢が続く病気です。ストレスなどにより自律神経のバランスが乱れ、吐き気・動悸なども伴ったりします。生活習慣を見直して、規則正しい食生活と排便習慣を心がけ、適度な運動、十分な睡眠の確保、下痢しやすい食事は避けるなど注意してみましょう。
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