ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

顔などにイボが・・

Q 「30代後半の男性で1年くらい前から顔や首筋、鎖骨辺りに皮膚と同じで目立たないほどの小さな"イボ"がポツポツとでき、心配になりました。まぶたの上にできこのまま増えていくのかと心配です。痒みや痛みなどはありません。事務仕事でストレスも抱えていたり、体調の変化があったのかと気になります。何が原因なのか、治療法を教えて下さい。」


A イボ(疣贅)の多くはウイルスが原因で、尋常性疣贅・扁平性疣贅・足底疣贅・尖圭コンジローマなどがあります。その中で、若い人の顔面、頚部などに出来やすいのは扁平性疣贅です。痛みや痒みがなく、正常皮膚色で、僅かに扁平に盛り上がる小隆起で、大きさは小豆大までです。

 扁平性疣贅の原因は、パポバウイルス群のヒト乳頭腫ウイルス(HPV-3、10型)の感染によるものです。尋常性疣贅の場合も、同じヒト乳頭腫ウイルスですが、別型が原因となる感染によるものです。ストレスとの関連は、免疫を高めるヨクイニンが有効との事で、免疫を低下させる因子の関連も否定はできません。

 湿疹やにきびと誤診されて悪化する例がみられます。掻いてしまうとウイルスが掻き傷に沿って感染するため、線状に並んで生じる場合もあります。扁平疣贅は、他のウイルス性疣贅と比べて、自然に軽快する可能性が高いと考えられますので、傷跡ができる治療法は避けた方が良いでしょう。また痒みや赤みが一斉に現れた場合には、数週間後に自然消退すると言われています。

 治療法は、ヨクイニンの内服薬が主です。ハトムギ茶の飲用も勧められています。補助に外用薬(スピール膏貼付など)などの使用もあります。一方、尋常性疣贅などでは第一選択の液体窒素凍結療法は、専門家の中でも意見が別れて、扁平疣贅には適応外だする考えもあります。

 日常生活で注意することは、皮膚を刺激すると、イボが広がってしまうので、引っ掻いたり、刺激しないことです。顔や首に傷を作ったり、洗顔のしすぎなどは避けましょう。保湿剤などで皮膚を保護することは予防の意味でも有効です。

 ともあれ治療は、皮膚科専門医とご相談下さい。