ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

人気サッカー選手の急性心筋梗塞死

Q 「人気サッカー選手が急性心筋梗塞で亡くなりました。応急措置が取られれば、助かる可能性もあったのでしょうか。対処法を教えてください。」 (神奈川・Y)


A サッカーの元日本代表の松田直樹選手(34)が、練習中に急性心筋梗塞で倒れて2日後に亡くなったとの報道には驚かれた方も多いでしょう。なにせ、強靭な身体と心肺能力を必要とする激しいスポーツの一流選手でしたから、ご質問のような、応急処置の疑問が出てくるかと思います。

 新聞報道などによりますと、8月2日午前9時半過ぎ、練習のランニングを行った後のストレッチ中に倒れたようです。そして、1分後には見学していた看護師が人工呼吸・心臓マーサージを開始しています。5分後には救急車要請、その10分後に救急車が到着。そして救急車出発までの12分間人工呼吸、心マッサージ、AED(自動体外式除細動器)が行われ、倒れて45分後の時点で救急救命センターに搬送され、集中治療室で最善の治療が行われたと思われます。つまり、適切な応急措置が取られたと考えられます。しかしながら、病院受診時には、心肺停止のままであり、その2日後に、亡くなっているわけで、急性心筋梗塞の怖さが如実に現れていると思います。

 若い人でも、又、軽い運動時でも、突然襲いかかり、死亡率30%の高さです。欧米諸国に比べると少なかった日本ですが、高齢化にともない増加し、前兆がない場合も70%になっています。

 松田選手も、今年1月の健診では、異常はなく、タバコも吸っていませんでした。ただ、主治医の記者会見では、詰まった血管を迂回する血管が出来ていたそうで、以前から冠動脈の閉塞があった可能性が示唆されたそうです。症状がないか、あっても我慢していた事も否定できません。

 激しい運動選手の場合、有害な活性酸素が増え、血管の内側細胞を傷つけ動脈硬化をおこし、心筋梗塞の原因となる可能性もあるようです。若くても定期的な健診が望ましいと思われます。

応急措置としては、今回の処置は適切だったと思われますが、AEDが近くにあればもっと良かったかと思います。