ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

緊張型頭痛とは、どんな病気でしょうか

Q 「以前から左上頭部にチクチクと痛みがありましたが、昨夜からズキンという激痛になりました。病院に行くと『緊張型頭痛』と診断されました。どんな病気でしょうか?」(神奈川H)


A  病院で「緊張型頭痛」と診断されたとのことですね。まずその病名についてですが、Hさんの症状からは、率直に言って疑問を持ちました。緊張型頭痛の典型的な症状は、重苦しい、圧迫されるような、締め付けられるような頭痛で、激痛になることは少ないのです。「左上頭部にチクチクと痛み・・昨夜からズキンという激痛」との症状経過からも、片頭痛か、後頭神経痛、あるいは帯状疱疹にともなう神経痛などの方が、より疑えるのではないかと考えます。頭痛の治療は、診断によって全く違ってきます。ぜひ再度、担当の先生に診断をお確かめいただきたいと思います。納得できない場合は、別の病院の頭痛専門外来か、あるいは神経内科・脳外科などで診断を、お願いするセカンドオピニオンをおすすめします。

 ご質問の「緊張型頭痛はどんな病気か」についてですが、

まず@症状としては、上にふれたように軽度〜中等度の痛みが両側に出ますが、日常生活に支障はおきません。悪心・嘔吐を伴うことは少なく、比較的軽い慢性の頭痛だという事です。

次にA頻度ですが、この頭痛は、外来の頭痛患者の中で最も多く、50〜70%を占めています。

そしてB原因としては、身体的・精神的ストレスや筋肉の緊張などが絡み合っています。身体的ストレスとしては、「無理な姿勢」「合わない机」「目の酷使」や首筋が細い人、頸椎症、顎関節症などです。たとえば長時間のパソコン作業で、肩や首、後頭部の筋肉がこわばり、筋肉の血行が悪くなり、いつも肩がこって頭が重く痛くなるのです。精神的ストレスとしては、イライラや、心配、不安、抑うつ、神経症などで、筋肉の緊張がおきなくても痛みのコントロール機能が悪くなって、頭痛をおぼえるようです。几帳面で律義、生真面目な性格の人は、心の緊張をうまく解消できずに緊張性頭痛になるようです。

C治療法は、内服治療としては鎮痛薬、抗不安薬、筋弛緩薬などが使われます。又非薬物療法としては、頭痛体操や認知行動療法、頸部指圧、鍼灸など種々の治療法があります。