ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

よく足がつります

Q  寝ている時、起きている時の関係がなく、よく足がつります。靴を履こうと思っただけでつった事も。アドバイスを願います。 (東京・T)


A 「足がつる」ことを、「こむら返り」とも言います。それは、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)にケイレンが起きた状態で、かなりの痛みを伴います。また、指・首・肩などの筋肉にも起きる事があります。ケイレンすると、筋肉が硬く膨隆し、数秒から数分続きます。

  筋肉のケイレンが起きる原因は、神経や筋肉が刺激を受けやすい状態になるためです。例えば激しい運動などで多量の汗をかいた時、妊娠中のカルシウム不足、下痢による脱水、人工透析時の電解質バランスの異常などで筋肉が興奮しやすくなるのです。又、寝ていて足の温度が低下した場合、ふとんの重みなどのために足が尖足位になっても起きます。

  こむら返りの多くは健康人にみられる一時的なもので、治療を必要とすることは稀です。しかし繰り返し起こる場合は、糖尿病、腎不全、肝硬変、胃切除術後、甲状腺機能低下症、筋肉や神経の病気、脊柱管狭窄症、アルコール依存症、喫煙者(閉塞性血管炎、バージャー病)なども疑う必要があります。また薬剤性の場合もあり、降圧剤・脂質薬・抗がん剤・潰瘍薬などが原因だったりします。

  予防は、膝の屈伸、足肢の伸展、ストレッチ体操などにより筋肉を温めたり、軽いマッサージ、温浴も役立ちます。また発汗に対する水分と塩分の補給、野菜や果物・海藻類・牛乳・小魚などをバランス良く食べること、過労や睡眠不足を避けることも必要です。また寝ていて膝や足を伸ばすときには、足のかかと(踵)を突き出すようにして尖足位にならないようにすることで予防できる場合もあります。また特に下半身を温かくして寝ることも有効です。

  発症時の治療としては、ふくらはぎの筋肉を押さえながら足首を反らすように曲げたり、筋マッサージ、ホットパックなどで対処します。症状が強い時には、漢方(芍薬甘草湯)やミオナール、テグレトールなども有効です。痛みを抑えるための冷シップと血行を良くするための温シップの併用も有効です。