A もやもや病とは、脳の中心部に血管が網の目状に新生する病気で、血管造影検査で、血管がタバコの煙のようにもやもやして見えることから日本人研究者が命名したものです。
その日本語のもやもやが、そのまま国際的な医学用語として採用されています。(moyamoya disease)。以前の医学用語としては、ウィリス動脈輪閉塞症と言われていたもので、脳中心部にある輪のようになっている動脈が閉塞して無数の網目状の異常血管が新生するものです。
原因は不明ですが、欧米人には稀で、日本人およびアジア人に多い病気です。発症年齢は、5歳を中心とする小児例と、30〜40歳を中心とする成人例と、ピークが二つあります。
症状は、年代により大きく違います。小児例は、運動麻痺、失語や、繰り返す一過性脳虚血発作などの虚血性症状が多く、けいれん発作も1割ほどあり、脳内出血になる場合も少数認められます。特徴的なのは、泣いた時や、熱いラーメンを食べる時などの過呼吸により、一過性脳虚血発作が起こされることです。
一方、成人例では、多くが脳出血で、虚血発作は少数です。出血の結果、頭痛、意識障害、麻痺などの後遺症が残ったり、生命の危険にもなる場合があります。 頭痛発作もしばしば見られ、朝起床時に激しい頭痛があり、起きることができないことが特徴的です。嘔吐 をすることもありますが、半日もたつと自然に治りケロッとしていることがほとんどです。 他に、ケイレンや舞踏病などの不随意運動を生じる人もいますし、もやもや病 であっても無症状の方 もいます。
予後については、小児例では、生命予後が良好ですが、精神機能障害や運動障害の後遺症が高率におきます。成人例では、死亡率が15%で、大部分が脳内出血です。
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