A 「下腹部に水ぶくれができた」とのことですが、「水ぶくれ」を、医学的には「水疱」と呼び、水疱ができる病気を「水疱性疾患」と言います。その原因としては、ウイルス性(水痘、帯状疱疹、単純ヘルペス)、虫刺され、アレルギー(接触性などの皮膚炎)などが上げられます。質問された方の場合は、破れてかさぶたになり(痂皮形成)、ズキズキ痛むとのことから、ただちに帯状疱疹(帯状ヘルペス)と診断できます。
帯状疱疹は、子供の時にかかった水痘(みずぼうそう)のウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が、長い間身体の中の神経節という場所に潜り込んでいて、成人以降に、病気などで抵抗力が弱くなったときや疲れたとき、あるいは歳をとったことにより再び活動を始めて発症する皮膚疾患です。水痘に小児期かかった全員が帯状疱疹になるわけではなく、10人に1~2人の確率で発症するようです。
帯状疱疹の特徴は、 ①水疱が、神経の通っている部分に、それも身体の半分にだけ帯のように現れる。 ②殆どが痛みを伴い、始めはピリピリチクチクした痛みで、そこが赤く腫れあがり、やがて水疱になると神経痛のような激しい痛みになる。 ③治ってくると、水疱部分が黒くかさぶたの様に変化してくる。 ④50歳以上の場合、25〜50%の頻度で、ある程度の帯状疱疹後神経痛がみられ、時に激しい痛みに悩まされ続く場合があります。通常約3週間~1ヵ月で完治しますが、ヘルペス後神経痛になると、数カ月から数年にわたってしつこく続く場合もあります。
原因療法として、抗ウイルス剤内服(重症の場合は、点滴治療で)、対症療法として消炎鎮痛剤が処方されます。抗ウイルス剤は、高負担ですがとても有効で、ウイルスの増殖を阻止して治癒を早め、早期に使用すれば、帯状疱疹後神経痛の予防が期待できます。早期診断、早期治療が大変重要です。
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