A 乳児がミルクを吐くということは,胃の発達が未熟なために珍しいことではありません。嘔吐の原因ですが、病気ではない生理的なものと、病的なものとに分けられます。
全く心配のない生理的なものとしては、溢乳、空気嚥下症などがあります。一方、病的なものとしては噴門弛緩症(カラシア)、先天性肥厚性幽門狭窄症(胃の出口の幽門筋が肥厚して、生後4週頃からの噴水状嘔吐が特徴)、腸重積症など消化管の異常による場合です。
生理的か病的かの区別は、一般状態・体重増加・皮膚のつやなどで区別されます。病的嘔吐の場合は体重増加が少ないか減少します。嘔吐は突然に起き、発熱・下痢・哺乳力低下などの症状があるときは、病的嘔吐が疑われます。
生理的嘔吐の原因として最も多いのが、哺乳時に空気を一緒に多く飲み込んでしまい、ゲップとともに溢乳する空気嚥下症または呑気症という状態です。母乳の場合で陥没乳頭などでは乳汁よりも空気のほうを沢山呑み込んでしまうこともあります。哺乳中から哺乳後に十分ゲップが出るように、母親の肩に乳児の腹が当たる位の高さまで抱き上げて、児の背中をよく叩き、また、さするようにすればゲップがうまく出て、吐くことが減ります。
頻繁に吐いたり、吐く量が多い場合は、噴門弛緩症(カラシア)の疑いも出てきます。食道下部括約筋の締まりが緩いため、飲んだおっぱいや離乳食が逆流して吐いてしまう病気です。座る、ハイハイなどで腹圧が掛かったときに吐きやすくなります。しかし1歳ぐらいで改善するケースが少なくありません。
対処法は、授乳は少量ずつとし、ミルクには澱粉質を加え、飲食後は上体を立て背中を軽く叩きゲップさせる事などです。
生理的か病的かを判断し、病的な嘔吐が疑われるようでしたら、小児科を御受診下さい。
カラシアの治療は、 @飲食後、上体を一時間ほど立て、背中を軽く叩いてゲップさせる。 A授乳は少量ずつとし、ミルクにはでんぷん質を加えて粘着度を増す、のケアで対処する。
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