ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

脳脊髄液減少症ではと言われました

Q 「長年に渡って頭痛や吐き気が続いています。友人から「脳脊髄液減少症では」と言われました。どういう病気でしょうか。」 (青森・J)


A 頭痛や吐き気が長年続いている場合、まず疑われるのは、慢性頭痛症です。片頭痛か緊張性頭痛の場合が多いのですが、しばしば吐き気が伴います。特に、片頭痛は、左右片方か、両方の側頭部が、脈をうつように痛む(拍動性という)特徴的な症状です。近年、片頭痛の特効薬もでておりますので、診断がつけば、治療は効果的です。

  さて、ご友人から言われた「脳脊髄液減少症」ですが、脳脊髄液(脳室とクモ膜下腔を満たすリンパ液のような無色透明の液体。“髄液”)が減少した結果、様々な症状が出てくる病気です。主な症状は、頭痛,頸部痛,めまい,耳鳴り,視障害,倦怠などで、吐き気は、随伴症状です。この病気の特徴は、座ったり、起きたりした時に、30分以内に症状が顕著になり、横になると楽になることです。又、何度やっても同じ症状が出ることです。他の病名(慢性頭痛,頸椎捻挫,むち打ち症,うつ病等)で治療され、適切な診断でないために難治性となり.精神的な問題と誤解され精神科を紹介される場合も少なくないようです。

  脳脊髄液が減少するのは、液が少しずつ漏れ出てしまうことによるわけで、漏れ出る穴が脳膜に空いてしまうためです。そして、穴が開く原因としては、 @交通事故などの外傷、 A思い当たることがない突発性、 B半身麻酔などによる医療性、の三つがあげられています。 @は、事故直後は何ともなく、後から症状が出るため「保険金目当て」と疑われたりします。 Aは、完治して普通の生活に戻れる場合が多いようです。又、 Bは通常、1週間ほどで自然に治るようです。

  治療としては、2−3週間の安静臥床と一日2Lの水分を取ることがまず行なわれます。それで改善せず、髄液が漏れる場所が明らかな場合には、ブラッドパッチ(硬膜外自己血注入法)が行われるようですが、保険適用外(全額自己負担)でもあり、適応は慎重に検討すべき治療法と言われております。