ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

白血球減少症について

血液検査を受けたところ「白血球減少症の可能性あり」と判断が出ました。症状や治療法などを教えてください。」(東京・T 

A 白血球減少症とは、血液中の白血球数が正常(平均は6600/μL)以下に減少(4000/μL以下)した状態をさします。健診で異常が出る場合もあり、直ちに病気につながるものとは言えませんが、感染症(カゼ・肺炎など)の診断や、血液・骨髄疾患を疑われる場合、薬害などの重大な病気の場合もあります。白血球数減少症は、白血球のどの成分が減っているかで、顆粒球減少症とリンパ球減少症に分類されます。

 顆粒球減少症とは、顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球の総称)が1,500/μL以下に減少したもので、白血球減少症の多くを占めています。その原因としては、感染症(ウイルス、重症感染症)、薬剤性、貧血(再生不良性貧血など)、骨髄の病気(骨髄腫・白血病・がん浸潤)、などです。

 一方リンパ球減少症は、リンパ球が1,000/μL以下に減少したもので、悪性リンパ腫、免疫不全症、ステロイド剤投与、放射線照射、自己免疫疾患などが原因となるものです。

 治療ですが、薬剤性白血球減少症であれば、原因となる薬剤を直ちに中止することがとても大事です。手遅れになると致死的な障害に進行してしまいます。又、血液疾患・骨髄疾患・感染症などの場合には、適切な治療を、早く受けることが必要です。そのためにも早期診断が当然重要で、かかりつけ医を受診してください。

 また、原因が何であれ、感染予防は重要です。白血球は、体外から体内に入り込んだ細菌などを排除する役割をもっており、それが減ると(特に顆粒球が500/μL以下に減少すると)感染症にかかりやすくなってしまいます。手洗い・うがいなどを心がけ、口腔・肛門部の清潔・消毒も必要です。また、感染症にかかると重症化しますので、早めの治療が重要で、風邪症状(発熱、倦怠感、のどの痛み)がでたらすぐに診察を受けてください。