ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

口内炎の硝酸銀治療について

Q 「口内炎によくかかります。以前は、近所の診療所の老先生が硝酸銀で患部を消毒してくれ、痛みもすぐになくなっていたのですが、若い先生に代わってからしてくれなくなりました。その治療法を伝えても、首をかしげるだけです。特殊な治療法だったのでしょうか。」 (宮城・K)


 口内炎は、通常1−2週間で自然治癒するありふれた病気ですが、「よくかかる」口内炎の場合は、念のため2点ほど注意が必要です。「頻回に再発する」口内炎ですと、ベーチェット病初期である可能性、又「難治性」の口内炎ですと、口腔腫瘍初期の心配があり、膠原病科や口腔外科等の専門医受診が必要かもしれません。
  治療法ですが、@テロイを含む軟膏の塗布、 A内服薬や注射でのビタミン剤投与が、一般的なもので、ご質問の「硝酸銀治療」は標準的な治療法には入っていません。以前は確かに広く普及していましたが、現在はそもそも薬(硝酸銀棒)自体が販売されていないのです。それは硝酸銀には毒性があること、また時には逆に症状を悪化させてしまうこともあるからと言われています。
 では口内炎はどうしてできるのでしょうか。病因としては、@偏食による鉄分ビタミンの不足、Aストレスや睡眠不足、B噛み合わせが悪い歯や、歯ブラシなどによる粘膜への刺激(口内を噛むなど)、C唾液の不足、口腔の乾燥、口腔内の不衛生、D歯磨き粉成分による粘膜の傷などが指摘されています。生活レベルの問題としては、仕事が忙しくて過労になっている、風邪を引いた、胃の調子が悪かったなどで、体力や免疫力が低下することが関係しているようです。
 再発の予防としては、睡眠不足や過労などにならないように日常生活を見直すことが必要で、日ごろ丈夫で疲れに気付かないような人は、体力を過信しないで疲れをいやし、逆に体力がない人は、散歩などの軽い運動を習慣づけるように心がけてください。