A 耳鳴りは、ご本人にしか判りませんし、四六時中付きまとうことも多く、実に不快であろうと思われます。その原因は、外耳から中耳、内耳、大脳(聴覚中枢)へと続く音の伝わる道(聴覚路)のどこかに異常がある場合に生じる事が多いと考えられます。
外耳の病気としては外耳道炎、耳垢栓塞(“みみあか”で塞いだ状態)があげられます。中耳の病気では、中耳炎、耳管狭窄症(耳管がうまく開かないで、耳がつまった感じがする)があります。内耳の病気は、突発性難聴、メニエール病、外リンパ瘻、音響外傷、老人性難聴などです。脳の病気で耳鳴りの原因となるものとしては、脳腫瘍、聴神経腫瘍、頭部外傷などです。従って、まず耳鼻科専門医への受診が必須で、脳の検査も一度はお受けになる必要があろうかと存じます。
難聴を伴うかどうかで、耳鳴りが区分されますが、突発性難聴など急に発症した病気の一部は、早期の適切な薬物治療などで聴力が回復し、それに伴い耳鳴りが消えることもありますので、その面でも耳鼻科専門医への早期受診が望まれます。しかし、加齢に伴い、徐々に神経が変化して、慢性化する老人性難聴は、元に戻りませんので、これに伴う耳鳴りが消えることは、残念ながら期待できません。
治療法ですが、原因となる病気の治療が優先されますが、それでも直らない慢性的耳鳴りに対しては、耳鳴りを小さくする治療法が試みられます。ビタミン剤(ビタミンB1、ナイアシン、B6、B12、C,E)や循環改善剤、漢方などの内服療法のほかにも、理学療法、心理療法も行われる時があります。最近、耳鳴りに慣れることを目的としたTRTという治療法の有効性も報告されているようです。主治医にご相談ください。
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