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A 『高所平気症』のご質問ですが、実は初めて耳にした言葉であり、又小児科医に聞いても、誰も知らない名前で、マスコミ情報を参考にした回答であることを、まずお断りしておきます。
この報道は、本年6月28日付けの産経新聞などで、横浜市のマンションから女児が転落死した事故に関連して話題になりました。この事故は、6階に住んでいる11歳の女児が、部屋のベランダから落ちたもので、警察の調べで、事件性はなく、家族によると自殺を図るようなそぶりはないので、転落事故であろうと報道されました。
そして、その転落事故の原因になる可能性として、「高所平気症」が指摘されたものです。マンションからの転落などを研究している「こども環境学会」の役員が、高さに対する恐怖心が薄くなる「高所平気症」と、好奇心旺盛な子供の行動にあっていないマンションの設計上の問題が絡み合っているとの指摘をしています。転落する子供で多いのは2〜3歳までの幼児と小学高学年〜中学生までで、幼児は安全に対する感覚の未熟さが原因で、小学高学年くらいの子供は、好奇心旺盛のため行動の予見ができないため危険性が高いとのことです。
「高所平気症」とは、立体的なものに対する感覚が未発達の子供が、高いところにいるという意識が出にくいことと、高層マンションで育つ子供は、高所に慣れる傾向があるため、高さについての恐怖心が薄くなっている状態のことを指しています。では、これが病気なのかどうかとの質問ですが、現段階では問題にしているのが、教育研究者などで、医学界では、殆んど知られていない状態であり、また医療で治療対象になるわけでもない状態ですから、医学上の病気だとは言えないと思われます。ただ、高層マンション入居の子供達に起きる可能性のある変化であり、その対策として意識的に外で遊ばせることが重要だとの指摘は、子供の生育上考慮すべきことだと思われます。 |