ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

C型肝炎について

「61歳の母親がC型肝炎の数値が上がってきました。出産時の輸血が原因のようですが,数値は安定していたのですが、加齢とともに悪化しています。薬を服用していますが、病状が今後、どのようになるのか心配です。治療について教えて下さい」(山梨・K)


A C型肝炎とは、C型肝炎ウイルスが感染し、肝臓に炎症が引き起こされたもので
6ヵ月以上にわたって続くものを慢性と言います。
 その原因は、お母様のような輸血や血液製剤、あるいは注射針が使い捨てになる前の注射針の使い回しなどです。現在わが国には、100人に1〜2人の割合で、C型慢性肝炎の患者さんや無症状の持続感染者(キャリア)の方がいると推測され、“21世紀の国民病”とまでいわれています。
 C型慢性肝炎の経過は、治療しないと約7割が徐々に病気が進行してしまい、10〜30年でその3〜4割が肝硬変、さらに肝がんに移行するといわれています。近年、肝がんによる死亡者数は増加しており、肺がん、胃がんに次いでがん死亡の第3位です(女性では第4位)。そして、C型肝炎ウイルスが、その原因の実に約8割を占めているのです。
 治療法には、C型肝炎ウイルスを排除して完全治癒を目指す原因療法と、肝機能を改善して肝炎の悪化を防ぐ対症療法(肝庇護療法)があります。C型慢性肝炎と診断された成人の方には、原則としてまず原因療法が行われますが、中心はインターフェロンです。ウイルスを体内から排除して完全治癒を目指します。何種類かありますが、いずれも注射剤です。内服薬のリバビリンは単独では効果がありませんが、インターフェロンとの併用でウイルス排除効果を飛躍的に高めます。
 一方、肝機能を改善させる対症療法には、グリチ
ルリチン剤またはウルソデスオキシコール酸(内服薬)が使われます。
 
今まで、内服薬の治療だけのお母様は、まず消化器専門医に受診して、詳しい検査を受けられて、インターフェロン治療をお受けになる事が必要と思われます。