ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

健康診断でアミラーゼが高いのですが

Q「
健康診断で2年続けてアミラーゼの数値が130(IU/?)ほどで膵炎の疑いが指摘されました。別に痛みも感じないのですが、検査は必要でしょうか。また、膵臓の病気について教えて下」 (福岡・S)  

A まずアミラーゼ(Amyと略)値についてですが、検査では血中Amyと尿中Amyとがありますが、受けられた健診では、おそらく血中検査と思われますので、Sさんの数値は、軽度上昇です。又、Amyは膵臓だけでなく唾液腺から分泌される消化酵素で、膵臓や耳下腺等の疾患や、腎臓疾患でも高くなりますので、Amy高値=膵炎の疑いとは即断できませんが、2年続けて異常がでていますので、精密検査は是非お受けください。
 次に、精密検査とその判断について説明いたします。まず、血液と検尿でAmyとAmy分画などを検査します。その結果、血中Amyが高くて、尿中Amyが正常であれば、腎臓でのAmyの排泄が減ったために血中Amyが上がった病態が考えられます。その原因は、腎疾患の場合と、マクロアミラーゼ血症(アミラーゼが大分子化したもの)の場合もあり、諸検査の上診断します。次に血中・尿中Amyともに上がっている時は、Amy分画の結果から、Amy増加が膵由来か、唾液腺由来かを区別します。
膵由来の場合は、膵臓の病気以外に、腸閉塞、腹膜炎なども原因として考えられます。一方、唾液腺由来の場合は、耳下腺の病気とともに、卵巣・卵管の疾患、糖尿病性ケトアシドーシス、特殊な肺ガンなども考えられます。したがって、更に、エコー・CT・MRIなどの画像診断を行なうことで、診断確定できます。
 膵臓の病気としては、急性膵炎・慢性膵炎・膵癌がありますが、共通してAmyの異常がおきます。症状として、上腹部に急性腹痛発作と圧痛があるのが急性膵炎で、上腹部痛・圧痛が6ヶ月以上持続または継続して、膵機能異常と、膵画像・膵組織像に異常所見があるのが慢性膵炎です。また膵炎様腹痛があって画像診断で診断される膵癌は、無症状のときに健診の異常値で発見される時もありますので、精密検査がやはり重要です。