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A 奥様のような、「全身が真っ赤で、38度もの熱がある」というのは、アトピー性皮膚炎だけでは説明しにくい病状と思われます。熱が出ていることからは、アトピー性皮膚炎の上に、皮膚細菌感染症が併発した状態ではないかとも思われますし、日光をあびるのは良くないと医師からいわれていることからみれば、日光過敏症もあるのかとも推測しております。いずれにせよ、病状や皮膚所見を直接拝見しないと判断がつきにくいことは、ご了解いただきたく存じます。
まず、皮膚細菌感染症の合併の可能性ですが、アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚は、バリアー機能が低下しているために、外界からの病原体の侵入に対する抵抗力が弱くなっており、しばしば皮膚に感染症が併発します。その中で、最も重症なものとして、「ブドウ球菌熱傷様皮膚症候群」という稀な病気があり、主として黄色ブドウ球菌という細菌により、全身の皮膚にやけど様の紅斑が出てきて、熱発するものです。最初は口や眼の周囲に水疱やびらんが出て、続いて全身の皮膚が熱傷様に剥離してくるものです。緊急な対処が必要で、水分・電解質・栄養管理を行いながらブドウ球菌に有効な抗生剤での治療がなされます。
つぎに、日光過敏症の併発の可能性です。これは普通量の日光照射だけで、皮膚が発赤したり、浮腫や、あるいは発疹(丘疹、じんま疹、水泡など多彩)が出るものです。決してアトピー性皮膚炎の方に多く併発するというわけではありませんが、全身に日光をあびると、全身が赤くはれ上がったりします。これは、日光を避けることで予防できます。
以上、2つの可能性を述べましたが、皮膚科専門医に相談されて適切な診療をお受けくださることが必要です。
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