ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

はしかと似たような発疹が出る病気は?

Q「子どもに発疹が出て、発熱しました。てっきり、はしかだと思い、受診しましたが、はしかではないと言われました。2、3日で熱も下がり、発疹もかれ始めたのですが、はしかと似たような病気があるのでしょうか。また、はしかの予防接種について以前は副作用が問題になっていましたが、受けた方がいいのでしょうか。発疹が出たのは全身で、年齢は9歳です。」(東京・K) 

「『2−3日で熱が下がり、全身の発疹もかれ始めた』との経過からは、風疹の可能性が一番高いと思われます。風疹は、『三日はしか』とも呼ばれており、風疹ウイルスによる飛沫感染で発症します。感染力は、発疹の発症前1週間〜発疹消滅後1週間まで続きますが、水痘、麻疹よりは弱いです。潜伏期は12週で、初期症状として、鼻水、せき、痛みのないバラ色の斑点が口の中に出てきます。
主症状としては、3839度前後の発熱が、約25割の患者さんに、3日程度出ます。また発疹は、特に顔では赤くなり、頚部や体幹にも広がり、融合しない、点状の紅斑(発疹)です。多くは,3日程度で消え,色素沈着を残すことはマレです。触診で特徴的なのが、後部、後頭部、頚部のリンパ節の腫れで、風疹と確信できる所見です。リンパ節の腫れは、発疹が消えた後も1ヶ月程度続く場合があります。
 検査は、多くの場合は不要ですが、典型的な症状が揃わない場合だけに、溶連菌感染症、伝染性紅斑(りんご病)などとの鑑別のために行うこともあります。
 治療は、風疹ウイルスに有効な薬はありませんので、症状を和らげる薬を使うことが基本で、軽い症状には、薬を出さない場合もあります。
 合併症は、成人では、稀に関節炎、脳炎、血小板減少性紫斑病などがみられることがあります。また、妊娠の1ヶ月前から妊娠12週迄の間に風疹にかかると、約二割の胎児に生れつきの異常(難聴・心奇形・白内障・小頭症・精神薄弱など)が見られます(先天性風疹症候群)が、これは非常に高率ですので要注意です。
なお、はしかの予防接種についてですが、副作用はとても少なく、麻疹にかかった場合の方が、症状が強く、合併症も問題になりますので、是非お受け下さい。