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A「『2−3日で熱が下がり、全身の発疹もかれ始めた』との経過からは、風疹の可能性が一番高いと思われます。風疹は、『三日はしか』とも呼ばれており、風疹ウイルスによる飛沫感染で発症します。感染力は、発疹の発症前1週間〜発疹消滅後1週間まで続きますが、水痘、麻疹よりは弱いです。潜伏期は1〜2週で、初期症状として、鼻水、せき、痛みのないバラ色の斑点が口の中に出てきます。
主症状としては、38〜39度前後の発熱が、約2〜5割の患者さんに、3日程度出ます。また発疹は、特に顔では赤くなり、頚部や体幹にも広がり、融合しない、点状の紅斑(発疹)です。多くは,3日程度で消え,色素沈着を残すことはマレです。触診で特徴的なのが、後部、後頭部、頚部のリンパ節の腫れで、風疹と確信できる所見です。リンパ節の腫れは、発疹が消えた後も1ヶ月程度続く場合があります。
検査は、多くの場合は不要ですが、典型的な症状が揃わない場合だけに、溶連菌感染症、伝染性紅斑(りんご病)などとの鑑別のために行うこともあります。
治療は、風疹ウイルスに有効な薬はありませんので、症状を和らげる薬を使うことが基本で、軽い症状には、薬を出さない場合もあります。
合併症は、成人では、稀に関節炎、脳炎、血小板減少性紫斑病などがみられることがあります。また、妊娠の1ヶ月前から妊娠12週迄の間に風疹にかかると、約二割の胎児に生れつきの異常(難聴・心奇形・白内障・小頭症・精神薄弱など)が見られます(先天性風疹症候群)が、これは非常に高率ですので要注意です。
なお、はしかの予防接種についてですが、副作用はとても少なく、麻疹にかかった場合の方が、症状が強く、合併症も問題になりますので、是非お受け下さい。 |