ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

メタボリックの診断基準と予防

「4月から特定健診が実施されています。メタボリックを導入した新しい制度と聞いています。メタボリックという言葉はよく耳にしますが、診断はなにを基準にしているのでしょうか。また、予防と対策についても教えて下さい」(福島・K)

A この4月から導入された特定健診ですが、多くの問題をはらみ、各方面からの批判を受けており、医学的根拠についても論議中であるものの、最終的には医療費抑制のために実行にうつされたものです。医療制度改革大綱の数値目標である、5年後医療費2兆円の削減を追及しています。
メタボリック症候群の診断基準ですが、おへその高さの腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上で、高脂血症、高血糖、高血圧のうち、2つ以上に該当すると診断されます。具体的には 1.中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満のいずれかまたは両方 2.血圧が上で130mmHg以上、下で85mmHg以上のいずれかまたは両方 3.空腹時血糖が110mg/dl以上 であり、日本肥満学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会など8学会が合同で公表した「メタボリック症候群の診断基準」が根拠になっています。
 予防と対策ですが、主な原因が食べ過ぎと運動不足で、それにより内臓脂肪ができ、必要以上にたまると、代謝異常が生じて、血液中のコレステロールや中性脂肪が増えるなどして、動脈硬化の原因になりますので生活習慣の改善対策が必要です。
 生活習慣の改善で重要なのは、食事摂取量を制限することと、よく噛んで食べることです。よく噛むことにより食べ物が小さくなり、唾液もよく混ざるので消化吸収がよくなり、また食事時間も長くなり、満腹中枢が満たされやすくなります。よく噛むには一口で口に入れる量を少なくしてみると食べ物が口の中でよく動くので噛みやすいです。
 また、一日30分程度の有酸素運動が必要です。つまり軽く汗をかく程度の継続できる運動です。手軽なのがウォーキング。歩く時間が20分を過ぎると脂質が使われ始めるといわれています。食生活と運動で予防・改善ができる場合も多いので早めに生活習慣を見直しましょう!