ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

脚のむくみの予防と関連する疾病について

Q 「最近、脚がむくみ、夕方になると靴を履くのが窮屈になります。水分を摂るといいと聞いたことがありますが、むくみの予防と関連する疾病を教えて下さい」(熊本・T)

 脚がむくむ(浮腫)原因としては、一般的には、@脚に限られる局所性浮腫と、A全身に広がることもある全身性浮腫の2種類にわけられます。@としては、静脈うっ滞やリンパうっ滞、体の位置や姿勢によっておきるもの等で、一部を除いてはあまり重病ではない浮腫です。Aは、心不全や低蛋白血症、肝不全・腎不全など、心配な病状からの浮腫があります。
 それぞれの原因となる疾病(病気)について列記いたしますと、@局所性浮腫に関連する疾病としては、蜂窩織炎などの感染症、外傷・火傷によるもの、静脈閉塞や静脈炎によるもの、リンパ性浮腫などがあります。A全身性浮腫も来たす疾病としては、各種の心臓病による心性浮腫、ネフローゼや腎炎による腎性浮腫、肝硬変による肝性浮腫、ホルモン剤・血管拡張薬などによる薬剤性浮腫などが上げられます。ご質問者の脚のむくみについては、これらの疾患が関連していないかどうかを、まず内科医院などを受診なさって診断してもらってください。一般的な検査をお受けになれば、さほど難しい検査をしなくても、概ね確定できることが多いと思われます。
 質問の文脈から、病気の可能性を推測してみますと、夕方になると靴が履きにくくなる浮腫ですので、@の中では、痛み・熱感などを認めないとすれば、リンパ性浮腫(原因疾病のない一次性)が疑われます。また、Aの可能性については、結論としては診察や検査をお受けにならないと判断がつきませんし、原因疾病によって、予防・治療はまったく異なってきますので、一律にはお答えできません。ただし、「水分を摂るとよい」との浮腫対策は、通常は考えられず、一般的には水分を摂りすぎないように制限したり、塩分を減らしたりする必要があると思われます。
 リンパ性浮腫に対しては、圧迫とマッサージ、夜間の下肢高挙が必要です。圧迫は、弾性包帯と弾性ストッキング、間歇マッサージなども必要です。又、肥満を避け、やはり水分の取りすぎに注意が必要です。