ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「耳下のリンパ節が腫れるのは?」

「耳下にぐりぐりとしたのはリンパ節というのでしょうか。抑えると鈍い痛みを感じます。リンパ節が腫れるのはどんな病気が考えられますか」(福岡・M)

A 「耳の下のぐりぐり」については、ご質問にあるリンパ節の腫れの場合とともに、もう一つの可能性として、耳下腺(オタフク風邪の場所)の腫れも考えなければなりません。リンパ腺なのか耳下腺なのかは、診察すれば多くは区別がつきます。また、触った所見(触診と言う)で、大きさや、硬さ、表面の滑らかさ、痛むかどうか等の所見などから、炎症性か、腫瘍性か、良性か、悪性かなどの疑いが整理され、精密検査が必要かどうかを判断していきます。
 
まず、耳下腺(耳の下の唾液腺)が腫れた場合の病気ですが、炎症性のものとして、ウイルスによるおたふく風邪(流行性耳下腺炎)や細菌による耳下腺炎、再発性耳下腺炎、また、唾石によるものなどがあります。次に、耳下腺の腫瘍としては、良性の腫瘍(腺腫や腺リンパ腫、脂肪腫、血管腫など)と、悪性の腫瘍(腺癌、腺様嚢胞癌、粘表皮腫瘍など)があり、画像診断(エコー・CTMRIなど)と生検での病理組織検査で、診断がつきます。
次に、リンパ節が腫れた場合についてですが、これも炎症性(リンパ節炎)と腫瘍性(リンパ節腫瘍)に分かれます。口の中の炎症や扁桃炎、耳の炎症などに伴ってリンパ節炎がおき、腫れて痛くなることが多いです。又、まれには結核性の場合もあり、高熱が続いたりすることがあります。
 リンパ節腫瘍の病気としては、転移性リンパ節腫瘍と悪性リンパ腫の2つがあります。リンパ節転移は近くに原発の悪性腫瘍がある場合、少し離れても肺がんや胃がんなどの転移による場合もあり、至急の精査が必要です。通常、転移性リンパ節は硬く、また痛みはありません。悪性リンパ腫は頚部のリンパ節のほか、全身を侵すもので、全身病と考えられます。診断には、やはり画像診断と生検での病理診断が必要で、早くかかりつけ医または専門医の受診をお勧めします。