ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「いびきが年とともにひどくなった」

 Q「夫のいびきが年齢とともにひどくなっています。しばらく息が 止まることもあり、無呼吸症候群ではないかと心配しています。い びきと加齢はなにか関係があるのでしょうか?」

A いびきは、睡眠中に気道(鼻から気管上部にかけての空気の 通り道)が、狭くなることで起こる音です。いびきがひどい場合は、 それだけ上気道が狭くなっている状態と考えられます。
 いびきがひどくなる原因としては、@肥満、A扁桃腺が大きい Bアルコール飲用、C上向きでの睡眠、D下あごが小さい、E加齢、 F鼻づまりなどが、単独または複合して関与しています。ご質問の ように、加齢による上気道の筋肉のゆるみが原因となる場合があり 、イビキと加齢との関係は確かにあります。
 しかし、息が止まること(無呼吸)もあるようですので、加齢だ けではなく、睡眠時無呼吸症候群の心配もあると思われます。
 無呼吸は、イビキが出る気道の狭さより更にせまくなった時に、 出てくるものです。狭くなった気道が、息を吸うときに生じる陰圧 のために、閉塞し、呼吸ができなくなってしまうのです。
 このように、いびきが極端に大きく、無呼吸状態がでてくる場合 や、昼間に強い眠気を感じる場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性 が否定できません。  睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が一時止まるため、重症化 すると脳や心臓などに重大な合併症や障害が起こる可能性がありま す。また昼間の強い眠気が、居眠り運転や、会議・商談中などの大 事な時の居眠りになるなど、生活や仕事に支障がでてきて、最悪の 場合は、以前ニュースになったような新幹線の事故や交通事故など 、重大事につながる危険性があります。
 睡眠時無呼吸症候群は、ご本人が自覚しにくいことから放置され ている場合も少なくありません。ご家族が心配されるなど、いびき が気になったら、まず鼻やのどに原因となる病気がないか、耳鼻咽 喉(いんこう)科での診察が必要です。睡眠障害専門の医療機関も ありますので、かかりつけ医に、まずご相談されては如何でしょうか。