ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「育毛剤は心臓に悪いですか?」

Q「夫が髪の毛が薄くなり、市販の育毛剤を使うようになりました。 育毛剤は使いすぎると心臓に悪いと聞いたことがあります。育毛剤の 副作用はあるのでしょうか」(千葉・M)

 A 色々な市販の育毛剤がでていますが、そこに含まれている薬効成 分は多数ありますが、大きく4つに分けられます。
@毛母細胞(毛髪 形成のための細胞分裂が活発な場所)の働きを弱める男性ホルモンを 抑制するもの。
A頭皮の血液循環を良くし、毛乳頭(髪の毛を成長さ せる栄養分が運びこまれる所)への栄養補給を多くすることで毛髪の 成長を促すもの。
B糖分・ビタミンなどの栄養分を補給し、毛母細胞 を活性化させるもの。
C過剰な皮脂の分泌を抑制するもの。
などです が、各種組み合わせて、それぞれの特徴を持たせています。
 ご質問の「心臓に悪い」副作用の出る成分は、ミノキシジルという 薬剤で、良く耳にする「リアップ」として市販されているものです。
 これは、そもそもは血圧降下剤として開発されたものでしたが、発 毛や育毛の効果が認められて育毛剤として市販されるようになったも のです。薬理効果としては、血管拡張作用があり、その結果、頭皮の 血行が促進され、毛根に刺激を与えると共に毛母細胞も活性化され、 それが発毛や育毛に繋がると説明されています。又、最近の研究では ミノキシジルが「男性ホルモン」にまで影響を与え、それを抑制する 働きが薄毛停止や発毛を促進するといった報告もあります。
   しかしこの薬剤の副作用は、2〜3%の発生頻度であると言われて おり、決して少ないものではありません。使い始めの脱毛もあるよう ですが、報告されている副作用のほとんどは接触性皮膚炎(かぶれ) などの皮膚トラブルで、使用を中止すれば改善する軽症のものです。  またご心配の心臓への副作用としては 胸の痛み、動悸、息切れ、 めまい、手や足のむくみなど、狭心症・心不全様症状があります。
 そもそも、女性・未成年者・頭皮皮膚トラブルの有る方には、使用 禁止になっております。又、医師の指示に従っての使用が必要なのが  高齢者 高血圧・低血圧、心臓・腎臓・肝機能に障害のある方です ので、該当する方は、必ず医師とご相談なさることをお勧めします。