ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「プール熱の症状 予防について」

Q「プール熱が流行していると聞きました。どのような症状がでる のでしょうか。予防についても教えて下さい」(鹿児島・N)

A プール熱とは、医学用語では「咽頭結膜熱」と言う夏かぜの一 つですが、プールでの感染も多いので、こう呼ばれています。
 原因は、アデノウイルスによる感染症で、ウイルスは年間を通じ て出現していますが、プール熱の流行は、夏季が中心で、6月頃か ら徐々に増えはじめ、7−8月にピークを迎えます。学童が主と思 われますが、感染症発生動向調査では5歳以下が約6割です。
 症状は、発熱、頭痛、食欲不振、全身倦怠感とともに、咽頭痛、 結膜充血、眼痛、流涙、眼脂などで、3〜5日間程続きます。
 診断ですが、発熱、咽頭炎、結膜炎の主症状から、判断しますが これが全部揃わないこともあります。最近は簡便に迅速診断ができ ますので、喉の拭い液でウイルス分離を行って診断できます。
  眼の症状が強くても、後遺症は出ません。また頚部のリンパ節が腫 れることもあります。潜伏期は5〜7日とされています。
 アデノウイルスのある種類は、免疫機能低下等の人や乳幼児、老 人では、肺炎など呼吸障害や細菌の二次感染も併発しやく、重症な 症状となることがあるので要注意です。 治療は、ウイルスが原因ですので、抗生物質は使わず、必要に応 じて、症状を和らげる対症療法が行われます。(1)口の中が痛く なることが多いので、脱水症に注意が必要です。水分や、刺激の少 ない、固くない物を十分に与えてください。(2)結膜炎に対して は、症状が強い時に抗生剤の目薬が処方されることもあります。 (3)熱が高いときは、解熱剤を使うこともありますが、使いすぎ ないようにした方がよいでしょう。
 予防としては、まず感染者との密接な接触を避けることが重要で す。そして、うがいや手指の消毒を励行することです。消毒法は、 手指に対しては流水と石鹸による手洗いが有効です。プールを通じ ての流行に対しては、水泳前後のシャワーなどの励行が大切ですが、 流行時にはプールを一時的に閉鎖する必要もあります。