ドクターおおばの
医療相談
院長 大場 敏明
「はしかの流行に、ワクチン接種は?」
Q 「はしかが関東地方で流行し、全国に広がるのではないかと 言われているようですが、なぜ、はやっているのでしょうか。 はしかにかかったことがなく、ワクチンを接種した記憶が 定かでなく、心配しています。ワクチンを接種した方がいいの でしょうか。予防についても教えて下さい」(京都・K)
Aはしか(麻しん)は、ウイルスの感染によって起こる小児期の 代表的な感染症ですが、この病気は、これまで大人がかかるケー スはまれと考えられてきました。ところが最近、成人麻しん患者 の報告例が増えてきており、又小児での集団発生例が今年になっ て続いたので、国立感染症研究所・感染症情報センターからは、 本年5月12日に「麻疹が流行しています」と緊急情報が発表さ れたのです。
茨城県及び千葉県にてほぼ同時期に麻しんの集団発生が確認さ れたことから、今後、東関東を中心とした麻しん発生地域の拡大、 患者数の増加が懸念され、大至急にワクチン接種をと呼びかけて いるのです。
麻しんワクチンが定期接種になった1978年以後、流行は少 しずつ小さくなってきたものの、5〜7年おきの流行は続き、患 者数も年間約10−20万人にも及んでいます。麻しんが年間 100人未満に すぎないアメリカなど、ヨーロッパ、旧ソ連、地中海地域などは、 根絶に近い国ですが、日本は未だ”麻しん流行国”なのです。
なぜ流行っているかとの質問ですが、日本でのワクチン接種率 と接種法の問題があると考えられます。流行を防ぐには接種率 95%以上が必要ですが、日本は80%前後であり、年々減少 傾向にあること。 そして、根絶に近い国は、ワクチン2回接種法を実施してきたの に対して、日本では、2回接種法にふみきったのが今年度からで あり、30年近く1回接種法のままであったことが上げられます。 予防は、ワクチン接種を徹底することです。ワクチン未接種で、 麻しんに罹っていない方は、実費になってでも、速やかに接種を 行うことが重要です。免疫を持たない方が麻しん患者と接触した 場合、接触3日以内ならワクチン接種で発病を予防できる可能性 があります。かかりつけ医と、ご相談ください。