ドクターおおばの
医療相談
院長 大場 敏明
「閉経後、骨密度が低くなりますか」
Q「女性の場合、閉経後、骨密度が極端に低くなると聞いたことが あります。本当でしょうか。原因と予防について教えて下さい」( 青森・K)
A ご質問の様に、女性の場合、閉経後に骨密度(骨量)が低下す るのは、本当です。カルシウムの吸収を助けて骨を強くする働きを 持つ女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が、閉経前後から激減 するためです。同時に内臓諸器官の衰えがカルシウムの吸収を悪く させ、さらに運動量の低下が骨形成を刺激する力を弱めます。
骨密度が極端に低下した状態を骨粗鬆症と言いますが、女性では 閉経期の40〜50歳代から急激に骨密度が減少し、60歳代では、 2人に1人が骨粗鬆症だと言われております。
骨密度低下の原因としては、女性ホルモンの減少以外には
@カ ルシウムの摂取不足
AビタミンD(腸におけるカルシウムの吸収 に必要)の不足
B喫煙、飲酒、カフェイン・食塩・糖分の摂りす ぎなど(カルシウムの吸収を減らし、排泄を増やす)
C過度のスト レス(腸でのカルシウム吸収を妨げる) などがあります。
骨粗鬆症の予防としては、食事の注意と運動の励行が必要です。
1)カルシウムを含む食品を多く食べる:成人におけるカルシウム の所要量は六百mg/日とされていますが、閉経後のひと、又、これを 過ぎて骨粗鬆症の危険が高い人は千〜千五百mgが必要です。牛乳・ 乳製品、小魚類、大豆類、海藻などにカルシウムが豊富です。
2)ビタミンDを摂って、腸でのカルシウムの吸収を良くする:ビ タミンDの多い、カツオ・マグロ・アジ、レバー、バター、たまご、 椎茸などを、積極的に食べましょう。また、日光浴も大切です。
3)喫煙・飲酒を控え、ストレスを溜めない。
4)定期的に運動する:食事でカルシウムを摂取しても、適度に運 動して骨に力を加えないとカルシウムは骨に吸収されません。
5)無理なダイエットをしない:カルシウム摂取を少なくするばか りでなく、女性のホルモンバランスを狂わせ、月経不順などを起こす 原因となります。若い女性の骨でも閉経後のようになってしまいます。