ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「モノ忘れ対策にできることは?」

Q「最近モノ忘れが多くなり、年齢を感じています。職場ではテレ ビCMで流れている「脳力開発」のゲームソフトが話題になってい ます。実際に効果があるのでしょうか。また、記憶力を高めるため に、日常的にできることがあれば教えて下さい」  (大阪・R)

A年をとるとモノ忘れが多くなりますが、殆どは誰でもが経験する 「正常老化」=「年のせい」です。とっさの時に人名を忘れたり、 物の置き忘れなどですが、後でひょいっと思い出したりしますので、 認知症にみられる病的物忘れとは区別されます。しかし、更に物忘れが目立つと、初期認知症との区別が問題になる場合があります。
 「年のせい」による記憶力の低下は、実は30歳代から出始め、5 0歳代の低下は その一〜二割位といわれています。しかも一般的 には40から50歳代にかけて知識や経験が一層豊富になりますの で、知能全体としては50歳代後半がピークと見られています。  
 職場で話題になっているとのゲームソフトですが、効果があるか どうかについては、これらは「治療」ではなく「ゲーム」ですので 医学的な意味での効果は不明であるとしかいえません。また記憶力 向上法も 有効性が確かめられているものはないと思います。
 一般的には、高齢者対象の物忘れ進行予防法として、脳と体の健 康維持法の提唱と、様々な脳の活性化訓練とが試みられてはいます。
 例えば、ぼけ予防協会(東京)提唱の全般的な予防法「10カ条」  @減塩と減脂肪のバランスよい食事 A適度な運動 B節酒と禁 煙、規則正しい生活 C生活習慣病(高血圧、肥満など)の予防・ 早期発見・治療 D転倒注意 頭部打撲予防 E興味と好奇心をも つ F考えをまとめて表現する習慣を Gよい付き合い Hおしゃ れ心を忘れずI明るい気分で生活する。その上に、右脳刺激訓練と して、音楽、絵画、ゲーム類、短歌・俳句・川柳、スポーツなども 良く、感性を養うことも大事だとしています。
 芸術的創作的趣味を楽しむ、日記など文章を書く、音読をする、 友人と会話を楽しむなど、頭をどう使うか、活性化させるかが、老 年期以前の世代にとっても意味はありえますので、健康な生活習慣 の努力とともに、意識的に追求されては如何でしょうか。

 最近 自治体によっては「ぼけ予防教室」がもたれている。 集団レクレーショ ゲーム手芸 陶芸 音楽など趣味活動の場提供である。

   @痴呆症の予防
物忘れなどがこれ以上、進行しないように、脳の活性化に向けて訓練をすれば、予防する事ができる。

 @散歩は、とても良い。足腰には、もちろんの事、季節感を体感できる。(見当識障害に 効果)
 A日記など、年月日の確認(見当識障害に効果)
 B歌の暗記やパズルゲームなど(短期記憶障害に効果)
 C手芸や日曜大工などの物作り
 Dゲートボールなど、ルールのある遊び
 E対人交流
当たり前のような内容ですが、痴呆症がすすむと、なかなか、自分から すすんで、何かをしようとはしません。 誰かと一緒にやる事に意義があり、効果があがります。

@健康ノート     (since'04../10/3)
物忘れ・痴呆の予防に有効な6か条
 1.脳の3機能を意識して鍛錬  計画力 : 旅行の計画を事前に練る エピソード記憶 :   出来事を思い出し日記に  注意分割力 : 同時に複数の料理を作る
 2.鍛錬の目標は少し高めに  達成したらまた少し上を目指す
 3.継続は力なり    仲間と一緒だと励みになるし会話が刺激に
 4.運動の習慣で血流を改善   まず一日7000歩を目標にウオーキング
 5.栄養をきちんととる   魚(特に青魚)や野菜、果物を食べる
 6.規則正しい生活を心がける   ぐっすり眠って頭すっきり  

[解説]
 年をとると記憶力が衰えて物忘れが進む。だが、毎日の暮らし方に注意すると、その度合いは違ってくる。 過去の出来事を思い出すことや、新しいことに挑戦したり、周りの人と会話したりすることなどが大切という。
  脳には、痴呆になり始めたときに衰える働きが三つある。物事を実行する順番を考える「計画力」、 出来事を覚える「エピソード記憶」、同時に複数のことに気を配る「注意分割力」だ。 痴呆予防にはこれらの働きを保つことが大切で、そのために有効なのが人との会話だ。 相手の反応に注意しながら、過去の体験を分かりやすく順序立てて説明する行為が、三つの働きの衰えを食い止める。 人との交流や社会との接点を持つことの重要性は様々な研究で指摘されている。
     
      ・・・「外出することが大事」・・・
 それでは鍛錬する際のポイントは何か。 「少し努力が必要な程度の難しさに設定すること」例えばエピソード記憶を鍛えるために日記を付ける場合は、 その日の出来事を書き留めることから始め、慣れたら前日の出来事、さらに前前日の出来事を思い出して書く。
      ・・・・ 新たなことに挑戦することも役立つ。・・・・
  鍛錬では脳の血流をよくすることが大切で、継続して運動することが効果的という。週三日以上、一回約三十分の早歩きで 痴呆の発症率が半分になるとの研究がある。
      ・・・食事にも注意したい。
 魚油に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)や エイコサペンタエンサン(EPA)といった脂肪酸には血栓ができるのを防ぐ作用がある。・・・「魚を食べる習慣が血液を さらさらに保つ」・・・毎日の積み重ねが予防につながるが、習慣になるまでが大変。仲間と取り組んだり、家族や知人に 鍛錬に励むことを宣言したりすると、長続きしやすいという。 (日本経済新聞10/3 健康ぺージより抜粋)

@最近物忘れがひどく、ぼけないかと不安です。ぼけ予防の方法があるでしょうか? (岡山市 61歳 主婦)

 痴呆(ぼけ)というのは人が成人に達してから、つまり十分に脳が成長発達してから後に、 何らかの原因で病的な慢性の知能低下が起きる状態をいいます。
●痴呆の始まりは物忘れですからこの物忘れが良性のものか悪性のものかが予測の手がかりとなります。 良性の物忘れは、人名やある事柄のど忘れです。ひょっとしたはずみや手がかりがあると思い出せます。 想起が困難ということで、多くの高齢者に普通にみられます。
●一方の悪性の物忘れはその時には理解しているようにみえてすぐ後で忘れます。そのことの自覚が薄く、 家族などが気づきます。  ぼけ予防協会(東京)では、専門家らの協力でまとめた危険因子を避ける全般的な予防法として次のような 「ぼけ予防10カ条」を提唱しています。(1)塩分と動物性脂肪を控えたバランスのよい食事を  (2)適度に運動を行い足腰を丈夫に (3)深酒とタバコはやめて規則正しい生活を (4)生活習慣病(高血圧、肥満など)の予防・早期発見・治療を(5)転倒に気をつけよう。頭の打撲はぼけ招く  (6)興味と好奇心をもつように (7)考えをまとめて表現する習慣を (8)こまやかな気配りをしたよい付き合いを  (9)いつも若々しくおしゃれ心を忘れずに (10)くよくよしないで明るい気分で生活を  その他、右脳刺激訓練として、音楽、絵画、ゲーム類、短歌・俳句・川柳、スポーツなども良く、感性を養うことも大事です。

@◆痴呆症の予防    
 痴呆の原因となる動脈硬化、高血圧、糖尿病などを治療する以外に、次のような生活を心がけることによっても痴呆を予防することができます。

●絵画や陶芸、文章を書くなど、創作的な趣味を持つ。  
●友人と会話を楽しむ。
●自分でできることは、できるだけ自分でやる。  
●引っ越しなど、あまり環境を変えない。
●かぜなどをこじらせないように、早めに治療する。

@ 「もの忘れの”新”予防改善法」   2003/06/09放映  
● 生活の中で気をつける物忘れ予防法 【もの忘れが加速する原因は生活習慣にあり】   ◎ポイント・・・1日の摂取カロリーを2000kcal以内にし、朝食をしっかり摂る。
 ◆朝食には「チロシン」を多く含む「凍り豆腐」を取ると良い。  

【毎日適量のビールを飲む人はもの忘れの頻度が少ない】   
 ◎ポイント・・・泡が多いビールの方が物忘れを防ぐ効果が高い。

【怒る回数と「もの忘れ」は比例する】   
 ◎ポイント・・・イライラを抑える香りのある生活をする。果実の香りがおすすめ。  

【孤独はもの忘れを加速させる】    
 ◎ポイント・・・積極的に外出する事と、30分以内の昼寝は良い。   
 ◎人の名前より、顔が思い出せない方がボケやすい。    
 ◎人と会うことも大切。   
 ◎毎日15分景色を眺めながらゆっくり歩くことも良い。

【物事に気を使わなくなるともの忘れの頻度が多くなる】   
 ◎ポイント・・・たびたび鏡を見る。お化粧や服装に気をつけてみる。生活の中で適度な刺         激が大切  

【自分のもの忘れに気がついている人はボケにくい!】