ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「ぜんそくの吸入ステロイド治療」

Q「友人がひどいぜんそくで苦しんでいます。吸入タイプのス テロイド薬が開発され、症状が改善されていると聞きました。どんな効果が あるのかでしょうか。また、ぜんそくにならない、悪化させないための予防 についても教えて下さい」(神奈川・H)

A ぜんそく(気管支喘息)は、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューとの呼吸音) 、咳や痰が出て、呼吸困難(息切れ・息苦しい)・胸苦しさなどが見られる 病気です。ひどいぜんそく(重症持続型)ですと、苦しくて横にもなれない とか、話すことも動くこともできなくなります。そしてしばしば夜間に発作 があり、日常生活や睡眠が妨げられ、さらに悪化すると、呼吸が出来なくな ってきて、窒息状態のようになったり、低酸素状態になり、適切な治療がな されないと死に至ることすらあります。  ぜんそくの原因は @気道過敏性(アレルゲンに刺激されやすい)A気道 閉塞(気道が狭くなっている) B慢性炎症です。以前は、ぜんそくはアレルギー反応が中心になって、気管支の狭窄が引き 起こされる病態が最重要と考えられており、喘息発作時には、気管支拡張剤 を上手に使うことが、治療の中心でした。そして、ステロイド剤は、重症に なったときを中心に使用されるものでした。 しかし近年は、気管支の慢性炎症が病態の中心と考えられているので、そ の炎症を抑えるには、吸入ステロイド薬が治療の中心になってきているのです。従って、軽症の状態から重症まで、吸入ステロイド薬を治療の中心にすえて、気管支拡張薬を組み合わせるのです。しかし、発作状態になって呼吸 困難がでている時には、吸入ステロイド薬は効果がありませんので、気管支 拡張薬を中心にして、適宜ステロイド注を入れた点滴・吸入などが必要にな ってきます。
 予防についてですが、環境整備と誘発物質への注意が大切です。1)室内 塵ダニをできる限り除去する。2)妊娠中の人や小児の近くで喫煙をしない。 3)職場での適切な衛生対策を講じて予防する。4)薬物および食品添加物  アスピリンやその関連薬物の使用は、発作誘発になりうるので注意必要です。