ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「股関節脱臼の手術、費用と回復期間について」

Q「戦争で股関節を痛め、外科の先生に股関節脱臼と診断されまし た。背骨の軟骨も磨り減り、身長が5a縮み、20bも歩けませ ん。手術をすれば歩けると聞きましたが、私は70歳です。手術 をした場合の費用と回復までの期間はどのくらいでしょうか」 (沖縄・A)

A:戦争で股関節を痛められたとは、60年前のことですかね。 当時、股関節脱臼と診断されたとすれば、「外傷性股関節脱臼」 と考えられます。「20bも歩けなくなった」のは、いつからな のかはっきりしませんが、背骨の軟骨の減りや年齢も考慮いたし ますと、変形性股関節症も重なって歩きにくくなってきたと推察 されます。
 ここでは股関節脱臼や変形性股関節症などを総称した病気である「股関節症」の症状と手術治療について、一般的なご説明をい たしますが、いずれにせよ、手術も必要になるとすれば、その判 断も含めて、大きな病院の整形外科受診を、まずお勧めします。
 症状としては、股関節が痛む・曲げ伸ばしが難しくなる・歩き にくくなる、その結果として日常生活に支障が出てくるなどです。痛みが続き、杖なしには歩けなくなる、X線検査で、関節の 隙(すき)間の狭さや変形が強くなるなどは、手術が必要になっ ていると判断する症状・状態です。 
 また、足の長さの左右差が強 くなっている場合には、その改善の手術も必要になってきます。 股関節症の手術には、大きく2種類あり、病期の進行度と年齢 から、選択されています。質問者のように、手術が必要なほど進 行しており、年齢が70歳ですと、多くは「人工股関節置換術」 (人工関節術)が行われるようです。専門医の解説によると手術 時間は、セメントを使用する場合は、1.5時間から2時間前後 のようで、術後3から4週間で退院になることが、順調な経過の ようです。
 その総医療費は最低で、1ケ月に約ニ百万円位(患者 さんの負担は3割では六十万円位)、高額医療費の対象になるの で最終的な患者負担は七〜九万円+食事代です。この上に差額室 料がある病院では、その分が上乗せされます。最後に重ねて、何といっても病院の整形外科専門医受診がまず必要だと強調してお きます。