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「心臓がん」について
Q「食道がんから心臓にがんが転移した知人がいます。心臓がんはあまり聞いたことがないのですが、心臓にがんができるのは、なにが原因なのでしょうか」 東京・T
A「心臓がんの原因」についてのご質問ですが、まず「心臓がん」の言葉の意味を確認しておきます。(いきなり医学用語の話しで、やや難しく恐縮です)。一般的に「がん」と言った場合は、“悪性腫瘍”全体を示す「がん」(ひらがな書き)と、肺癌・胃癌・乳癌のように“上皮性の腫瘍”に限った「癌」(漢字書き)とに区別されます。従って、ご質問の「心臓がん」とは、「心臓悪性腫瘍」の意味として考えますと、原発性(初めから心臓にできたもの)と続発性(他のがんから転移したもの)とに分類されます。知人の方のように、食道癌が原因となって転移したものは、続発性心臓悪性腫瘍の一種ですが、医学用語としては「食道癌の心転移」と表現することが多いと思います。そして、肺癌・乳癌などともに、心臓の中の「心膜」と言う心臓を包んでいる外側の膜への転移がほとんどです。一方、「心筋」への転移は、悪性リンパ腫・白血病・悪性黒色腫などが原因となります。また、「心臓内腔」への転移も、気管支癌・腎癌・甲状腺癌などで認められています。
このように、各種の悪性腫瘍が、心臓に転移を起こしますが、その頻度は、統計によれば、悪性腫瘍で死亡された患者さんの数%とか、多い統計では20%にも及ぶもので、決してまれではありません。
その一方で、原発性の心臓悪性腫瘍は、きわめて少なく、剖検例の0.0017%にしか過ぎないとの報告もあります。「心膜」にできるのが中皮腫などで、「心筋」にできるのは肉腫(黄紋筋肉腫・血管肉腫など)であり、癌とは違う種類の悪性腫瘍です。症状は、胸部痛や心不全症状、不整脈・狭心症症状などで、心電図変化・胸部X線異常などが認められ、詳しい画像診断で、診断がつく可能性がありますが、難しい例も少なくないようです。
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