ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「ノロウイルスによる感染症胃腸炎が各地で広がり、心配です」

Q「ノロウイルスによる感染症胃腸炎が各地で広がり、心配です。
特徴や感染しないための対策を教えて下さい」(北海道・K)


A 新年早々報道されたノロウイルス胃腸炎ですが、高齢者施設などで集団発生しており、今まで報告のなかった死亡者が出たり、小児の集団発生もあり、いささか驚かされましたね。しかし、現時点では、感染力や病原性が強まったとの兆候もないようで、専門家は「例年と変わってはいない」と指摘しています。過剰に心配する必要はないと思われますが、感染力がとても強く、「まん延防止策の徹底」は重要です。厚労省から緊急通知が出されています。
  冬場、急に下痢になって「おなかに来る風邪」と診断された場合、多くはノロウイルス感染症です。ただ冬に多い小児の下痢症として、従来、白色下痢症などと言われているロタウイルス感染症(名前も似ています)もあります。かぜ症状があり、家族内感染もある胃腸炎ですが、白い下痢便が特徴で、院所の検査で診断がつきます。
 ノロウイルスとは、かつては「小型球形ウイルス」と呼ばれており、3年前に国際的に名称統一され、改名されたものです。食中毒の原因として報告が増加しており、二〇〇二年の統計では、原因病原体の第一位になっているほど、多いものです。
 ウイルスは口から感染し、人間の腸で増え、下痢や腹痛、おう吐を起こします。潜伏期間は24〜48時間で、症状が1〜2日続いた後に、後遺症もなく自然治癒し、重症化しない胃腸炎です。高齢者では、脱水症や吐物の誤嚥で死亡する例があり、注意が必要です。
 ノロウイルスは、生カキ等の二枚貝が、主な感染源とされます。貝類は十分加熱調理すること、調理器具等は洗剤などを使用し良く洗浄することで感染を防止しましょう。また、感染者は、手洗いを十分にすること、そして感染者のふん便や吐物にはウイルスが大量に含まれているので、その処理は使い捨てマスクと手袋を着用し、手洗いも徹底しましょう。またノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂い、これも感染源になりうるので、吐物やふん便は乾燥させず、早めの処理が重要です