ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「睡眠と年齢の関係について」

Q「年齢とともに、朝起きる時間が早くなってきました。休みの時もゆっくり寝ようと思っても、いつものと同じ時間に目が覚めます。若いときは1日中平気で寝ていましたが、いまはそれができません。睡眠と年齢はなにか関係があるのでしょうか。」(大阪・Y男)

A 年齢と睡眠との関係についての、ご質問ですが、体験されておられるとうりに、年齢とともに変化していくのが普通の状態です。
  ある「医学的調査」によれば、各年代の平均的な睡眠時間は、新生児期は14−16時間であり、小学生時代は10時間、10代後半は8時間、30−40代が7時間、50代以後が6時間と、高齢
になるに従って睡眠時間が短くなっていく傾向があります。
 ところが別の「アンケート調査」では、小学生時代は9時間、高校生は7−8時間と短くなりますが、20才代からは、少しずつ増えていき、70才以上の高齢者では、約9時間になっています。
 この2つの調査の違いは、夜間途中での目覚め状態(=中途覚醒)の時間を除いた厳密な睡眠時間を調べた「医学的調査」と、その時間も入れた臥床時間を調べた「アンケ−ト調査」との違いなのです。
 つまり、20才代から段々と中途覚醒が増えていき、30代以降では、回数も1回の目覚め時間も長くなり、高齢になると一層顕著になるのです。このように高齢者の睡眠の特徴は、床に横になっている睡眠時間(臥床時間)は、徐々に長くなっていくが、途中で目覚める回数が増え、時間が長くなっていくので、実際に眠れている時間(睡眠時間)は、加齢とともに短くなっていくのです。
 高齢にともなう変化として、睡眠パタ−ンが、早ね早起き型に変化していくことも珍しくありません。ご質問者のように、寝ていようとしても、いつものと同じ時間に目が覚めるのは、加齢のためと思われます。極端な早起き型になっても熟睡感がある場合は、全く問題はありませんので心配はいりません。しかし睡眠の満足度は、
年齢とともに下がっていく傾向がありますので、睡眠時間にかかわらず、熟睡感がなく、睡眠への不満が強いようですと、不眠症の場合もありえますので、かかりつけ医にご相談ください。