ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「新型肺炎SARSについて」

Q 「昨年、新型肺炎SARSが爆発的に流行しましたが、今年、再燃するという話を聞きます。どんなことに気をつけたらいいでしょうか。(新潟・男性)」

A SARS(サ−ズ)は、「重症急性呼吸器症候群」と訳されています。昨年11月、中国広東省に端を発し中国の他の地域にも拡大し、また、台湾、カナダ、シンガポール、ベトナムなど世界中のいくつかの国でも大きな問題となった、新しく発見された感染症です。
  各国の発生患者数(死亡数)は、WHOの統計によると、中国5327人(348人)、香港1755人(298人)、台湾671人(84人)、カナダ250人(38人)で、世界全体で32ケ国8437人(813人)に及んでいます。
 主な症状は、38℃以上の発熱、せき、呼吸困難などで、胸部X線写真で、肺炎の影又はスリガラスのような影(呼吸窮迫症候群と呼ぶ)が見られます。また、頭痛、悪寒戦慄、食欲不振、全身倦怠感、下痢、意識混濁などの症状が見られることもあります。原因となる病原体は、風邪症状などを起こすコロナウイルスの新型、「SARSコロナウイルス」と命名されました。
 防御法の第一は、流行地への渡航を避けることです。海外渡航予定者は、そのためにもSARS流行情報を良く見ておく必要があります。
 やむをえず流行地へ渡航する場合には、人混みを避け、手洗い・うがいを良く行うことが大切です。
 マスクの着用は、飛沫の吸入を防ぐという点で有効です。特に外科用マスク・N95マスク(防塵マスク)は、目が細かく効果的です。普通のマスクでも数枚重ねれば一定防御効果が期待できると言われています。
 適切な消毒は感染防止に有効であると考えられます。
 もしSARSの「疑い例」「可能性例」が確認された場合、家庭用の漂白剤を使って、水道の蛇口・洗面器・ドアノブ・窓の取っ手・照明スイッチなどの消毒は効果があるといわれています。また、糖尿病や心臓病、喘息などの慢性疾患やお年寄りなどは、できるだけ外出を避け、飲み過ぎや過労など、免疫力を落とす行為は避けなければなりません。