ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

健康診断でGPTが上昇

Q 「健康診断で血液検査をしたところ、GPTが50近くに跳ね上がっていました。GPT検査は肝臓の病気を発見するためと聞きましたが、お酒もそれほど飲まないのに肝臓が悪くなったとは考えにくいのですが、ほかになにか原因があるのでしょうか。」 (東京・女性)

A 「健康診断で、GPTが50近くに跳ね上がって」とのことですが、まず健康診断の検査結果をどう見るかについて、考えてみましょう。
 個々の検査数値を、きちんと見ていただくことは、大変結構なのですが、それだけから、一喜一憂される必要はないと思います。健診だけで、直ちに新たな病気の診断が確定することは少ないわけです。つまり個々の検査結果の判定と総合判定から、病医院で診療や精密検査を受けるという次の段階へ進まれる「入り口」にたつことであると考えていただければと思います。
 健診結果の判定は、「異常なし」「要経過観察」「要注意」「要治療」などに分かれていますが、個々の検査ごとの判定と、その人の健康度を総合的に勘案した「総合判定」がありますが、それはいかがだったでしょうか。
 その判定にしたがって、「要注意」「要治療」でしたら、病医院への受診が必要です。「要経過観察」であれば、食事療法などの養生をしたり、一定期間後に再検査などに受診してください。あくまでも入り口ですから、健診の受けっ放しでは、意味がなくなります。
 さて、ご質問者の肝機能検査の結果についてですが、GPTが正常範囲を少し超えているだけですので、まず重篤な病気の可能性は低いと思われますが、何らかの軽い肝炎状態はあると考えられます。他のデ−タとも合わせて考えますと、ウイルス性急性肝炎、薬剤性肝障害、脂肪肝、慢性肝炎の軽い顕在化、あとは胆嚢疾患なども有るかもしれません。初めての異常なので、きちんと、精密検査を、お受けください。その結果、確定診断がつくはずです。