ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

「紫外線と皮膚がんの関連性」

Q.夏の日差しが強くなってきました。紫外線はシミやシワを増やすだけでなく、皮膚がんの原因にもなると聞きました。関連性があるのでしょうか?(沖縄・女性)


A.日差しが強くなる夏は、紫外線量が増える季節です。ご心配のように、確かに紫外線が、皮膚がん増加の原因になると、近年問題になっているところです。
  紫外線は、地球に到達する太陽光線の1つで、波長の長いほうからA、B、Cの3種類があり、波長の短いものが、強い傷害性をもつ有害紫外線です。そして、この紫外線の量が、地球環境の悪化によって増え、皮膚がんを増加させ、このままではさらに深刻な被害が進行すると、地球規模の重大問題となっているわけです。
 いきなり大きな話しで恐縮ですが、46億年の地球の歴史が、この紫外線問題の深刻さを教えてくれます。
 実は、地球史が始まって40億年以上は、陸上にも有害紫外線が降り注ぎ続けたために、生命体の陸上生活は不可能だったのです。安定したオゾン層が作られた5〜4億年前から、有害紫外線はブロックされ、初めて陸上に生命が誕生したのです。従って、もしオゾン層がなくなってしまえば、有害紫外線のためあらゆる陸上生物は死滅してしまうという深刻な問題なのです。
 現在でも、紫外線を過剰に浴びれば、皮膚の免疫力を低下させ、肌の老化を促進し、皮膚がんを増加させます。そして、オゾン層が10%減ると、皮膚ガンが26%増えると言われています。
 紫外線の影響が考えられる皮膚がんには、基底細胞がん・有棘細胞がん・メラノーマ(悪性黒色腫)があります。皮膚がん早期発見のためには、顔や腕、手に新しい痛みのないできものや、色の変化に気ずいたら、早めの皮膚科受診が重要です。
 紫外線の害を少しでも防ぐための注意が必要です。「長時間、直射日光に当たらない」「紫外線の強い正午前後2時間の外出は避ける」「外出時には、つばの広い帽子、長そでシャツ、長ズボン、日傘などで紫外線をカットする」「サングラスは、UVカット効果のあるものを選ぶ」「日焼け止め剤を使う」などを心がけましょう。