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ドクターおおばの
医療相談
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院長 大場 敏明 |
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2002/12 ”意識がなくなり、倒れてしまいました”
Q通勤途中に電車の中で意識がなくなり、倒れてしまいました。血液検査ではヘモグロビンが10g/dlでしたが、内科の先生からは「倒れるほどの数値ではない」と言われました。ほかになにか原因があるのでしょうか。(26歳・女性)
A 「意識がなくなった」とのこと、ご心配のことと存じます。原因についてのご質問ですが、いわゆる”脳貧血”の状態と思われますので、まず貧血との関係を、ご心配されたと思われます。貧血と言っても、ヘモグロビン(=血色素とも言います)が5−6g/dl以下の強い貧血の場合には、”脳貧血”の原因となりえますが、ご質問の方のような10g/dl程度の軽い状態では、まず心配される必要はないと思われます。
では、ほかに原因としては何が考えられるのでしょうか。質問文のような一時的な意識の消失状態を、「失神」と言いますが、20代の若い方の場合には、反射的におきる「血管迷走神経性失神」が一番多いと言われております。その難しい名前を聞いただけで、くらくらしそうですが、決して心配する必要はありません。これは、体内に難しい病気があるわけではなく、若さゆえの自律神経のアンバランスによって起きるものなのです。緊張・不安・疼痛・驚愕などの強い感情によって、急に体の血管が広がり、そのために血圧が低下し、”脳貧血”状態になるものです。顔面蒼白・四肢冷感・めまい・冷汗などの前触れ症状がみられることもあります。
一方、若い人には少ないですが、その他にもさまざまな原因による失神があります。脳性(脳血管障害など)・心臓性(不整脈・弁膜症・心筋症・肺梗塞など)・状況性(喉頭失神・咳失神・排尿失神など)・代謝性(低血糖)・心因性・てんかん性などです。ご心配でしたら診察・検査などによって区別がつけられますので、念のために、かかりつけ医に相談されて、ご確認されたらよろしいかと存じます。
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