ドクターおおばの
医療相談
院長 大場 敏明
2002/3 「脳梗塞について教えてください。」
Q 脳梗塞について教えてください。前ぶれ症状や対策など。 突然そうなる人がいるので心配です。 (61才 男子)
A 「脳梗塞」とは、突然、脳血管が血栓(血液の固まり)によって閉塞し、半身 まひ(片麻痺)や感覚障害、失語症(言葉をしゃべれなくなる、言葉を理解できなくなること)などの障害がおきてしまう病気です。もし太い脳血管が閉塞を起こすと、重症になり、意識障害や呼吸麻痺など生命に関わる危険な状態になって、死亡することもあります。その場合は、救命されても強い障害が残ってしまい、寝たきり状態になったりします。
脳梗塞は、突然の発症が多いのですが、一部には「前ぶれ症状」(前兆)が出ます。また突然とはいえ、多くの場合は「前ぶれ(前段階)の病気」があります。しかし、その多くは無症状であり、しっかりとした対策をとっておく必要があるわけです。
「前ぶれ症状」として有名なのは、一過性脳虚血発作(TIAと略します)と言う病気で、一時的に血栓が脳血管をふさいで、血流が途絶えるためにて起きるものです。しかしその血栓は、人体の防御機構である、血栓を溶解する働きがつよまり、閉塞状態を溶かして、血流が回復して、24時間以内には症状が消え、後遺症なく治ります。しかし、もしTIAを、治療せずに放置すると30%以上に脳梗塞発作が起きる(62%に脳梗塞発作を起こすとの説もある)と言われています。また、TIAを起こした人は、起こしていない人と比べると15倍も脳梗塞になりやすいとの統計もあります。従って、脳梗塞発症を予防するために、TIAをおこした場合には抗血小板薬療法や抗凝固療法が必要になります。生活習慣の改善も対策として重要です。
脳梗塞につながる危険のある病気(「前段階の病気」)も、治療・対策が必要です。高血圧・高脂血症・糖尿病・高尿酸血症・動脈硬化症など、生活習慣病と言われている病気で、その段階で症状が出るのは一部ですので、油断して放置していると”ある日突然”となる危険があるものです。血圧のコントロール、糖尿病の治療、コレステロ−の治療など、医師の指示に従って、内服治療や生活習慣の是正が必要です。野菜類を十分にとってバランスのよい食事を心がけること、高血圧や動脈硬化に悪い作用をする塩分を制限すること、ウオ−キングなど適度に運動することなど、健康な生活習慣が重要です。