ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

2001/8「胃かいようの再発防止のために気をつけることは?」

 Q:昨年胃かいようの診断を受けました。悪性ではないということで.薬で治療していますが,2ケ月でなくなりました。再発防止のために気をつけることを教えてください。食事が影響するのでしょうか.(男性・49才)


 A:胃かいよう(胃潰瘍)は、悪性(=胃癌)でなければ、内服薬で治療します。H2ブロッカーという胃酸を抑える薬を中心にして処方しますが、良く効きますので2ー3ケ月のあいだに殆どが改善、治癒します。しかしその一方、胃潰瘍は大変再発しやすい病気です。治癒1年後の再発率は,H2ブロッカーの半分量を内服し続けて(維持療法)も4〜5割,もし維持療法を受けないと、実に6〜7割にもなります。
 再発原因は,ストレス・疲労・タバコ・暴飲暴食などであると、従来言われていました。しかし、近年はピロリ菌が最も大きな原因とされ、マスコミなどでも話題になっています。ピロリ菌(正式名・ヘリコバクターピロリ)は、40代の日本人では、感染率が6ー7割にもなる、とても多い感染症です。その感染者の3ー4%の方だけが潰瘍になるのですから、ピロリ菌だけが原因という訳ではありません。しかし、ピロリ菌を除菌した方は、再発率が著明に改善することから、再発予防の決め手の一つとして注目されているのです。ピロリ菌を未治療で放置すると 潰瘍再発率が7ー8割にもなるのに対して、ピロリ菌を治療し除菌した患者では再発率がなんと1割以下に減少するのです。
 再発させないために必要なことは、第一にピロリ菌の有無を検査して、保菌者であれば、除菌することです。潰瘍薬1種類と、抗生物質2種類を1週間内服しますと、90%以上除菌されます。副作用は、下痢、腹痛、味覚異常などですが、大きな支障は殆どありません。勿論、ピロリ菌が除菌できても、それで全て解決とはなりません。再発させないために第二に必要なのは、生活の養生です。過労にならないようにする、睡眠時間を確保する、釣り合いの取れた食事を規則正しくとる、お酒を飲みすぎない、禁煙するなどです。健康的な生活をして、必要な薬を飲んで、胃潰瘍を克服しましょう。