ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

2001/6「みぞおちに痛みを感じる時がありますが--」

Q:朝目がさめるとみぞおちに痛みを感じる時があり、背中までつきぬけるような痛みのこともあります。押しても痛くないのですが,すっきりしません。健康診断では異常はなかったのですが。 (女 49歳)

A:”みぞおちの痛み”は、「心か部痛」と言いますが、場所から言ってまず胃・十二指腸、胆嚢、膵臓などの病気が考えられます。又、心臓病の場合でも心か部痛が出てくることもあります。 ”朝、目がさめると痛む”とのことですので、空腹時の痛みと考えれば、食後痛が多い胆嚢・膵臓の病気よりも胃・十二指腸潰瘍などがより考えられます。又、朝方に血圧があがりやすかったり、心臓発作も起きたり、狭心症なども否定できません。”健康診断で異常なし”とのことですが、一般的な健診では、検査が十分でない場合があります。例えば、胃検査が入っていないとか、入っていてもバリウム検査(胃XP)だけだったりの場合です。胃の病気は、他の検査では、わかりません。また胃XPが行われていても、胃潰瘍の一部は見付けにくい場所に出来ていることがあり診断出来ないこともありえます。また、エコーなど行わない場合は、胆嚢・膵臓疾患は見付からないことがあります。又、心臓疾患についても、健診時の心電図一つで診断が全てつくわけではありません。狭心症でも、症状が出ている最中に心電図をとらないと、診断がつかない場合があるのです。
 だから健康診断は無意味だと考えるのは正しくないと思います。間違いなくいろいろな疾患の早期診断に立派に役立っていますが、上に述べたように一定の限界があることもみていないといけません。この限界を補うのが、症状や家族歴をお聞きする「問診」ですので、きちんと正確にお話し下さい。症状によってはその原因を外来検査で診断する必要があります。また、癌や肺疾患などが多い家系、「疾患危険グループ」の人達では、追加外来検査が必要です。
 「痛いところがあるが、健診では異常なしだったから放置する」というのは、良くありません。健診結果をお持ちになって、近くのクリニックか病院を受診されるようお勧めいたします。