ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

Q/A :『高尿酸血症について』 2000年5月 

Q:「高尿酸血症は、痛風の予備軍といわれていると聞きます。どんな病気か教えてください。」

A:血液の中の尿酸値が高くなった状態を、「高尿酸血症」といいます。つまり血液検査で、尿酸の値が7.0mg/dl以上の場合です。さらに、8.0mg/dlを越える状態が続くと、痛風等の病気が起こりやすくなりますので、治療が必要になります。
 痛風とは、多くなった尿酸が血液の中で結晶状に固まって関節にたまり、激痛発作を引き起こすものです。主に足の親指のつけ根におきやすいのですが、ひざ・ひじなど他の関節にも起きることがあり、”風が吹いても痛い”程の激しさにもなります。全員が痛風になるわけではありませんので、痛くなければと軽く見がちですが、痛風以外に、次のような全身の障害を合併することもあり、決してあなどってはなりません。
 高尿酸血症が続くと、腎臓障害が起きる危険があり、最悪の場合には腎不全になり人工透析が必要になってしまいます。また、腎・尿路結石もおきやすく、激しい腹痛・腰痛発作に襲われる場合もでてきます。さらに怖いのは、高尿酸血症は高血圧や糖尿病・高脂血症などの成人病を悪化させ、動脈硬化を進行させ、脳卒中や狭心症・心筋梗塞などにつながる危険性が高まるので、しっかりと治療しなければなりません。
 尿酸は、血中に溶ける量が決まっていて、正常量では全て溶けていますが、増えてくると溶けきれずに、結晶になり体の中にたまっていくのです。尿酸が高くなるのは、体のなかで、作られすぎたり(産生過剰)、体の外へ出される量が少なくなる(排泄低下)ことが原因です。尿酸は、食べ物のプリン体から体内で合成され、その一方で、尿などから体外に排泄されることのバランスがとられています。このバランスの崩れが、高尿酸血症の原因です。治療としては、尿酸コントロール薬内服と日常生活改善が必要です。
 高尿酸血症があったら、症状が無いからといって軽視せずに、かかりつけの医師にご相談下さい。