ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

Q/A : 『動脈硬化とは?』 2000/2 

Q:「動脈は過度の疲労の蓄積でだんだんと能力が低下すると聞きました。動脈硬化の気があるといわれており、どういう病気か、予防などお知らせ下さい。」

A:「動脈硬化」とは,文字どうり”動脈が硬く変化”した状態で,血管本来の弾力を失ってもろくなってしまうものです。血管壁に石灰がたまってきて、大変硬くなったり,その一方でもろくなり、細い動脈は破れたり(出血)しやすくなります。血管の中が狭くなるので血流が乏しくなったり(虚血性変化)、はては血管がふさがって(閉塞)、血が流れなくなって壊死になったり(梗塞)します。又,コブ様にふくらんだり(動脈りゅう)にもなります。
 飽食と運動不足の生活習慣のために大変増えており,気が付かない間に、忍び込むように我々の全身を侵す、現代病です。
 動脈硬化の変化は、太さが中くらいまでの動脈にみられる「粥状硬化」(アテローム)と、細い動脈におきる「壁が厚く硬くなる」との2種類があります。粥状変化は、主に日常の生活習慣に関連して発生し、細動脈の硬化は、高齢になっての老化現象です。
 この動脈硬化が進んできて,心臓に閉塞などおきれば狭心症・心筋梗塞,脳では脳出血・脳梗塞・くも膜下出血・痴呆など,腎臓におきれば腎硬化症・腎血管性高血圧・腎不全などをひき起こします。また,胸や腹部の大動脈りゅうや手足の動脈の閉塞症などが起きる,まさに”全身病”です。
 なぜ動脈硬化が起きるのか。その原因は多くあり,最も問題なのが「喫煙・高コレステロール・高血圧」の三大危険因子です。また肥満・糖尿病も問題で,心筋梗塞の四大因子として「死の四重奏」などと物騒な名前がついています。さらに痛風(高尿酸血症)・ストレス・運動不足・低HDL血症なども危険因子です。
 ご質問の「過度の疲労の蓄積」とは,身体的・精神的・社会的な多くのストレスのことと思われます。ストレスはホルモンを分泌させ,血圧を上昇させ、血中に脂肪酸や糖を増やして、血管硬化症状を進行させてしまいます。
 予防は、即ち原因への対策で,生活習慣の改善とストレスの解消,高血圧や高脂血症などの適切な治療が重要です。禁煙,バランスのとれた食事,肥満の是正,適度な運動,十分な睡眠,休日を楽しみ、ストレスを解消することなどです。