ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明

筋・筋膜性腰痛の治療について    1999.12

Q:筋筋膜炎と診断されました。疲労・ストレスからの腰痛とのことですが、どうしたら治りますか。

A:腰痛はつらいですね。実は筆者も,先日腰痛になり痛みをこらえて仕事をした体験者です。幸い2週間ほどで治り、軽症でしたが,痛みが続く方はさぞ大変であろうとお察しいたします。
 さて「腰痛症」と言っても,痛む場所は腰椎(腰の骨)・椎間板(腰椎の間にあるクッション)・筋肉・筋膜・神経など様々です。また原因も,外傷性・疲労性・姿勢性・変形性などが多く,感染性・腫瘍性の場合もあり,さらに内臓疾患(膵臓癌など)による腰痛など様々で,かかりつけ医か整形外科医を受診して正しい診断の上に治療されることをお勧めします。私のばあいは,友人の専門医にかかったら,「分離症だよ、腰痛体操でもしておいて」と診断され,ほっとしました。「もしや癌では---」とすぐ心配したものです。
 ご質問の「筋筋膜炎」とは,あまり聞き慣れないでしょうが,腰は腰椎骨の周囲の多くの筋肉とそれを包む膜が大きな役割をはたしており,そこが外傷や疲労で炎症をおこして痛むものです。「腰部筋筋膜症」とか「筋・筋膜性腰痛」とも呼ばれ,いわゆる"腰痛症"の多くは,この筋・筋膜の痛みによるものです。
 治療は,急性期は何といっても安静第一で,薬・冷シップなども使われます。慢性期には,予防も含めて,姿勢の注意・治療体操・保温・生活習慣の改善などが必要ですが,以下列挙します。
 (1)正しい姿勢:へっぴり腰・猫背などでない姿勢。(2)腰によい椅子・寝具:堅すぎても柔らかすぎてもだめ,寝た時に1ー2cm位沈む堅さ。(3)腰にやさしい靴:きつい革靴,ハイヒールなどはだめ,よく合った靴。(4)作業時の注意:重い物を持ち上げるときは,腰を落とすこと。中腰作業はひざをつける。(5)腰痛体操:専門医の指導で,毎日・朝晩すこしづつ続けること。筋力強化・柔軟性獲得。(6)生活習慣の改善:肥満の是正・運動不足解消(何といってもウオーキング)。 積極的な生活改善と専門医の指導による療養で,腰痛を克服してください。