ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明
年をとってから痛みが増強する片頭痛    1999.9

Q: 「片頭痛に悩まされています。だんだん年をとってくると強さも増すようです。はた目に見えないのでつらいも
のがあり,なんとかならないかと困っています。」(58才・男)


A:年令とともに「頭痛が強く」なって困っておられるとのこと,仲々大変ですね。まず「片頭痛と年令」についてですが、一般的には30才までに発症し、高令になると痛みは軽減または消失することが少なくありません。ある統計では60才以上で約80%の片頭痛が消えています。しかし一部では、痛みは軽くなるが発作日数は増加し、ひどいと連日となる例(慢性連日性頭痛)もあります。それも、さらに年を重ねると痛みは緩和することが多いようです。
 しかし、あなたのように年をとって痛みが増す頭痛の場合、頭痛の別の原因が重なっていないか一度は検討して下さい。例えば、緊張性頭痛(肩凝りと重い痛み)・後頭神経痛(ピリッとする痛み)・脳血管障害(手足の不自由が伴うなど)・脳腫瘍などです。必要な検査も受けて、診断してもらってください。
 その結果、それらが否定されれば、年令とともに片頭痛の痛みが増す治療困難例とも考えられます。
 治療は、改めて発作の誘因(姿勢・過労・ストレス・睡眠不足)に対策をとること、食事性の誘因(飲酒・チョコレート・チーズ・香辛料など)もチェックし、それを避けることで予防できる場合があります。
 薬ですが、鎮痛剤と発作止めの薬は、ご使用でしょうが、「頭痛予防薬」治療は受けておられますか。まだでしたら主治医に相談されてはいかがでしょうか。現在、使用されている予防薬(元来は高血圧、不整脈、てんかん等の治療薬)で、完全予防とはいきませんが、痛みの軽減効果があります。しかし、問題点は、有効率が高くなく、効果があらわれるのに最低ーケ月はかかることです。有効薬が見付かるまで、何種類もの薬剤を試みなければならないこともあります。いずれも忍耐が必要ですね、お大事にしてください。
 (2002/11追記:片頭痛の治療薬としては、最近有効率が高い特効薬が、数種類使えるようになってきています。主治医に、ご相談下さい)