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紫斑について 1999.8
Q:足のあちこちに、なにも知らないうちに打ったような後ができ、最近顔にもなんとなく赤いものが浮いてきます。皮
膚が弱くなっているのでしょうか。それとも病気でしょうか。56歳です。
A:「打ったような後ができる」とのことですが、おそらく皮膚か皮下への出血(医学用語では"紫斑"と言います)だと思われます。また,顔の「赤いもの」も同じ紫斑でしょうか。
紫斑と似ている皮膚の変化として、「紅斑」「老人性血管腫」「老人性色素斑」などがありますので、まず区別をつける必要があります。ガラス板など透明な板で押してみてください。紫斑ですと消えません。また、横から見てください。イボのようには出っぱってないものが紫斑です。(盛り上がったようになるアレルギー性の紫斑は例外)また、2ー3週間のうちに消えてしまうのも紫斑の特徴です。
皮膚の変化は、やはり直接見せていただかないと正確な判断がつきませんが、一応"紫斑"だとして話しをすすめます。
では次に、最近、皮膚以外に出血症状はないか、ふり返ってみてください。例えば、鼻血、歯ぐきの出血、性器出血、血尿、血便などです。もしあれば、治療が必要な"病気"(血液病など)が心配されますので、急いで病院・医院にかかって下さい。
さてこのような出血症状がない場合では、足を中心に出てくる紫斑として、代表的なのは"うっ血性紫斑"があ
ります。また、手や腕を中心として、時に足にも出て、まれには顔にでる"老人性紫斑"があります。また、両方が合併していることもあります。
いずれも高齢者に多くて、長時間立っていたり、歩いたりした後に出てくるものが"うっ血性"で、静脈瘤などにそって出てくることが多いようです。一方、知らない間にできてしまうものが、老人性紫斑で、60代に25%、70代に34%、80代で40%の頻度で見られる多いものです。50代の統計はみかけませんが,ないわけではありません。
診断は、(1)紫斑の出方の特徴からと、(2)血液検査で異常を認めない(血液や肝臓の病気を否定する)こと、(3)血管脆弱性が原因と考えられる(検査でも確かめられます)、ことからなされます。
治療は、下腿部を上げてみる、弾性包帯の使用、皮膚の保護、ビタミンC・E内服などがありますが、殆どは治療しなくても問題はおきません。
ただ,他の原因の紫斑だったり別の皮膚疾患であると、勿論、治療法が異なってきますので、しっかりと診断をつけることがとても大事であることを、最後に再び強調しておきます。
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