ドクターおおばの
医療相談
院長  大場 敏明
腎臓結石の食事注意について   1999.5

Q:不規則な生活で、酒も疲れをとばすためよく飲みます。朝、救急車で、運ばれ腎臓結石といわれました。食生活の改善をいわれましたが、忙しい中、日常的にどうすればいいのでしょうか。(26歳、男子)

 A:腎臓結石とのことですが、さぞ痛かったでしょう。3大疼痛の一つといわれるほど強い痛みですから、二度とご免こうむりたいとお考えでしょう。
 腎臓と膀胱の結石を総称して、尿路結石と言います。生涯に一度は結石に罹る人が全体で1割にものぼると言われるほど多いもので、30代から50代にピークがあるので、20代の貴君、好発年令はこれからですね。

(1)そこで予防対策をとっておかねばなりませんね。まず結石の原因ですが、出てきた結石を検査すれば成分が解ります。カルシウム(=Ca)結石が80%と多く、さらにその多くがシュウ酸カルシウム結石で、尿酸結石は少数です。一番多いカルシウム(=Ca)結石について考えてみます。
 その原因の第一は、尿中のCaが高くなること(高Ca尿症)です。一部のホルモンの病気以外は、原因不明で、血中Caは高くならずに尿中Caだけ高くなります。蛋白質の取りすぎが最大原因といわれ、食塩の取りすぎも影響します。またシュウ酸の取りすぎもCaと結合して結石につながります。
 第二に、慢性脱水状態が大きく影響します。高温環境、高熱下の労働、過小飲水、スポーツなどが影響しているとされています。

(2)結石予防のために、食事・生活上の注意を
 1.尿中Ca・シュウ酸を上げないために、まず動物性蛋白質の取りすぎに注意することです。そして一見矛盾するようですが、尿中Caを下げるために、Caは多めにとる必要があります。野菜・海草・芋類をとり、魚類が良いようです。シュウ酸が多い食物の代表ホウレンソウは制限したほうが良さそうです。シュウ酸は多くの食物にも含まれ、現実には制限困難ですので、Caをより多く取ることが現実的です。
 2.慢性脱水状態の予防ですが、生活環境(高温・乾燥・運動不足)と運動の程度にあわせて、十分に水分類をとることが重要です。又、オレンジなどカリウムが多い飲料水は勧められますが、飲みすぎはいけません。また水分中のCaも、牛乳など十分にとりましょう。ソーダ類・コーラ類は、控えた方がよいようです。ビールも利尿作用があって排石には有効ですが、利尿作用後には脱水に傾くので、かえって結石形成の危険が増すとの研究もあり、適量以下として下さい。コーヒー・紅茶は、シュウ酸の前駆物質が含まれているので一定制限し、飲む場合もミルクをいれましょう。
 大事なのはバランスの良い健康な食生活を基本として、一定の食事上の注意を念頭におきつつ、意識的に水分摂取に努力し、適度な運動もしていくことです。